月末の月次仕訳は、
決算を完成させる作業ではありません。
このページでは、
月末(21~末日)に行う
「月次仕訳の投入」について整理します。
月次仕訳とは「決算を前倒しする作業」ではない
月次仕訳とは、
年に一度、決算でまとめて処理されるものを、
毎月に分けて会計ソフトに反映する仕訳のことです。
たとえば、
- 固定資産税
- 保険料などの前払費用
- 減価償却費
といったものは、
支払いや確定は、
年に1回、数か月に1回、
場合によっては数年に1回のものもありますが、
費用としては、毎月少しずつ認識していくものです。
月次仕訳では、
こうしたものを月ごとに区切って計上することで、
- 今、どのあたりまで進んでいるのか
- 決算までに、どれくらい残っているのか
を、数字で把握できるようにします。
ここでいう月次仕訳は、難しく考えなくていい
ここでいう月次仕訳の投入は、
難しく考える必要はありません。
目的は、次の2つです。
- 決算に向けた進捗を、
なるべく実態に近い数字で把握できるようにすること - 翌月の資金繰りで失敗しないよう、
状況を把握しやすい形に整えておくこと
月次仕訳は「全部やらない」と決める
月次仕訳というと、
細かい未払計上や売上調整まで入れたくなりますが、
このタイミングでは、そこまで行いません。
月次仕訳は、
業績の概算がわかれば十分です。
このタイミングでは、
・未払費用の洗い出し
・売上の細かい調整
・決算整理仕訳
までは行いません。
伝票辞書で月次決算の項目をつくり、上から処理する
この画像は、
会計ソフトにある伝票辞書の選択画面です。
(ソフトによっては、仕訳辞書、仕訳テンプレート等と呼ぶ場合もあります)
私は、日常利用する仕訳項目の下に 「月次決算」 という項目を作り、
上から順番に処理する運用にしています。
こうしておくことで、
月に一度入力が必要な仕訳を
忘れずに入れる工夫をしています。
月次仕訳は、
考えながら入力する作業ではなく、
順番どおりに流す作業にしておくのがポイントです。
伝票辞書の活用方法については、
他のテーマで解説しています。
こちらもぜひご覧ください。

それでは伝票辞書の月次決算の項目を順番に見ていきましょう。
1.固定資産税の支払(*は翌月分)
まず私は、翌月分の入力をする仕訳については
取引名の前に「*」を付けています。
例えば、
1月下旬の入力の際には、
2月末の日付で固定資産税の支払を入力します。
また、()の中の月は、
支払がある月を示しています。
この月だけ仕訳を投入します。
仕訳
(借方)未払金(固定資産税)/(貸方)普通預金
入力方法
- 仕訳辞書の該当取引をクリック
- 金額を入力
- 登録
固定資産税の納付書に記載されている金額を、そのまま入力します。
2.借入金の返済(翌月分)
借入金の返済も、
翌月分の入力を行います。
なぜ「翌月分」を入れるのか
税金や借入金の支払を
翌月分まで入力する理由は、資金繰りでの失敗を防ぐためです。
もう少し噛み砕くと、
通帳の残高と、
会計ソフト上の残高を
「将来の予測」として一致させておくため
です。
来月になってから
「思ったよりお金が減っている」とならないよう、
減る予定のお金を、先に帳簿に反映させておく
という考え方です。
この 1・2 は、
来月になって預金残高を見たとき、
計上忘れで資金繰りの失敗を起こさないため
に行います。
仕訳
(借方)長期借入金(A銀行)/(貸方)普通預金
支払利息(A銀行)
3.固定資産税の月割計上(固都税)
これ以降「*」のついていない取引は、当月末の日付で入力を行います。
例えば、
1月下旬の入力の際には、
1月末の日付で入力します。
固定資産税は、
年間の税額を12か月で割った金額を毎月計上します。
そのため、
- 固定資産税の支払額
- 月割計上額
についてまとめた集計表を作っておき、
伝票辞書に金額まで登録しておくと便利です。
仕訳
(借方)租税公課(固定資産税)/(貸方)未払金(固定資産税)
4.長期前払費用の取崩し
これは、
1年超の保険料などを一括払いした場合の処理です。
支払時
(借方)長期前払費用(保険A)/(貸方)普通預金
この支払をしたときに、
月割金額を算出し、
月割金額を入れた仕訳辞書を作成しておきます。
月次での取崩し
(借方)保険料(保険A)/(貸方)長期前払費用(保険A)
金額はすでに入っているため、
月次ではワンクリックで登録できます。
5.減価償却
減価償却は、
会計ソフトに備わっている
固定資産管理機能を利用します。
弥生会計であれば、
固定資産台帳に登録しておくだけで、
- 月割計算
- 仕訳作成
まで簡単にすることができます。
※ 弥生会計以外の会計ソフトを使っている場合でも、
自動仕訳・テンプレート・定型仕訳といった機能を使えば、
同じ考え方で運用できます。
まとめ
私の場合、21~末日に行う月次仕訳は、
今の数字が、想定とズレていないかを
早めに確認できる状態にし、
資金繰りでのうっかりミスを防ぐことを目的にしています。
そのため、
決算のように、月次仕訳をすべて入れることはしません。
ポイントは、
伝票辞書を利用して、
毎月同じ仕訳は、考えずに入れられる形にしておくことです。
月次仕訳は、
正確さを重視するよりも、
ざっくりとした概算で、判断の土台を整える作業
だと考えています。

