このページでは、
月次決算の仕訳入力と預金照合が終わったあと、
月次決算を締めて業績報告をするやり方を整理します。
この業務の位置づけ
21日〜月末で月次の入力は完了し、
1〜10日で預金照合も終わっている前提では、
11〜20日に行う業績報告は最終確認の工程になります。
ここで行うのは、
新しい数字を作る作業ではありません。
- 入力漏れがないか
- 数字が大きくズレていないか
- 経営に見せて問題ない状態か
を確認するためのチェックです。
業績報告で使っている「月次」の前提
この業績報告で見ている月次は、
売上と仕入・経費の確定タイミングがずれた状態です。
- 売上:当月月初に前月分が確定
- 仕入・経費:月末にならないと確定しないものが多い
そのため、
10日頃に当月分すべてがそろった業績報告を行うことは現実的ではありません。
この業績報告では、次の前提で数字を見ています。
- 売上:前月分
- 仕入・経費:前々月分
を前提に、確定している数字だけで流れと違和感を確認します。
10日頃に業績報告を行うのは、
売上が固まり、早めに改善を取り組めるタイミングだからです。
月次決算と年次決算の役割分担
通常は、
こうしたズレを含んだ状態で月次決算を行い、
年次決算で正確にそろえるという進め方になります。
月次では、
- 数字の流れを見る
- 異常や変化に気づく
ことを優先し、
完全な対応関係までは求めません。
もし毎月、
売上と仕入・経費をきれいに対応させたい場合は、
- 売上や仕入を日時ベースで積み上げる
- 発生基準での管理を徹底する
- 請求・計上タイミングをそろえる
といった、
それなりの仕組みづくりが必要になります。
ひとり経理では、
月次と年次の役割を切り分けるほうが現実的です。
早期決算は特別な会社だけの話ではない
私が働いていた上場企業では、
2日には月次決算が完了し、3日の朝にはその資料をもとに役員会が開かれていました。
ひとり経理の中小企業で、
同じスピードを求めるのは現実的ではありません。
ただし、
「人が少ないから無理」という話ではなく、
仕組みがないから遅くなるケースがほとんどです。
- 21日〜月末で入力を終わらせる
- 1〜10日で預金照合を済ませる
- 11〜20日は確認と報告に集中する
この流れができていれば、
ひとり経理でも早期決算は十分可能です。
最終確認でチェックするポイント
この工程では、
正確かどうかよりも、
おかしな数字が混ざっていないかを見ます。

この図は、弥生会計の「集計」メニュー画面です。
月次決算では、この画面から
①消費税 → ②B/S(貸借対照表) → ③P/L(損益計算書)
の順に帳票を確認しています。
① まずは消費税(科目別税区分表)
最初に見るのは消費税です。
科目別税区分表を確認します。
消費税に関しては税金の申告に関わる部分ですので、ここは税理士さんにお任せしていることも多いと思います。その場合はとばしてください。
- 想定していない税区分が出ていないか
- 課税・非課税・不課税の仕訳が適切に行われているか
消費税は、
ここで違和感に気づけることが非常に多い項目です。
② 次にB/S(貸借対照表)
B/Sは、
単月の借方・貸方の動きを見ながら確認します。

動きがある勘定科目を中心に、
- 今月なぜ動いたのか
- 想定どおりの動きか
をチェックします。
例えば預り金の場合、次のような補助科目を使っていることが多いでしょう。
- 源泉所得税
- 住民税
- 社会保険料
これらは、
月末時点でゼロになっているケースも多いため、
残高が残っていないかを確認します。
③ 次にP/L(損益計算書)
P/Lは、
単月ではなく年間推移で確認します。

- 急に増減している科目はないか
- 毎月一定のはずの費用がブレていないか
変な動きがあれば、
仕訳の内容まで戻って確認します。
④ 比較(前年・予算)
最後に、
- 前年同月比
- 予算を作っていれば予算比
で数字を確認します。

前年と比較することで、
増減の原因をつかみやすくなります。
⑤ 特殊事項はメモしながら進める
確認中に気づいた、
- 今月だけの特殊要因
- 来月に影響する事項
- 説明が必要な動き
これらは、
メモを取りながら進めるのがポイントです。
このメモが、
そのまま業績報告のコメントになります。
⑥ 改善につながる視点を持つ
業績報告は、
報告して終わりではありません。
数字をまとめて提出すると、
そこで「完了した気分」になってしまいがちです。
でも、
報告はゴールではなく、改善のための材料です。
小さな会社では、
- どこがおかしいのか
- 何を変えればよくなるのか
を指摘してもらえることが、
何より喜ばれます。
補助科目が改善に直結する例
補助科目を作っておくと、
年間推移を見たときに
どこに問題があるかが一目で分かります。
例えば、
複合機の利用料が少しずつ上がっている場合。
中身を確認してみると、
黒文字印刷が、いつの間にか
カラープリント設定のまま使われていた、
というケースもあります。
こうした気づきが、
業績報告を
「出すだけの作業」から
改善につながる業務に変えてくれます。
⑦ 前年比較試算表と「今月の留意事項」を経営者に報告
最終的に、
前年比較試算表と、
これまでの確認でメモしてきた
今月の留意事項をまとめて、経営者に報告します。
ここで大切なのは、
数字を細かく説明することではありません。
- 前年と比べて何が変わったか
- その変化は一時的か、継続的か
- 来月、何に注意すべきか
を、短く伝えることです。
⑧ 月次決算を締めたら「入力制限」をかける
業績報告まで終わったら、
最後に会計ソフトの入力制限(ロック)を設定しておきます。
多くの会計ソフトには、
設定した日付以降の仕訳入力・修正・削除を禁止する機能があります。
月次決算を締めたら、
この設定を必ず入れておきましょう。
- 過去月の仕訳をうっかり修正してしまう
- 過去月の日付で仕訳をうっかり入力してしまう
といった誤入力を防ぐことができます。
月次決算は、
「締めたつもり」ではなく、
システム上も締めておくことが大切です。

まとめ
11〜20日に行う業績報告は、
改善のスタート地点です。
- 数字を確認する
- 違和感に気づく
- 次の行動につなげる
この意識を持っていれば、
ひとり経理でも、
経営にちゃんと役立つ業績報告になります。

