このページでは、
経理・事務処理における「発注から支払いまでの基本的な流れ」を、
内部統制の考え方とあわせて解説します。
事務処理は、
見積を取り、
購入してよいかを判断して注文し、
納品を確認したうえで、
支払ってよい状態かを確認する
という順番で進みます。
一連の作業は当たり前のように行われていますが、
これには大切な理由があります。
事務処理は、
決まった順番で確認を積み重ねることで、
ミスやトラブルを防ぐようにできている からです。
ここでは、
事務処理は「この順番で回っている」という前提 で、
実務の流れを整理していきます。
全体の流れを先に確認する
まず、事務処理は次の順番で進みます。
- 見積
- 承認(購入していいか)
- 注文
- 納品
- 承認(支払っていいか)
- 支払
この中で大切なのは、
判断のポイントが分かれていること です。
事務処理では、
「購入していいか」と「支払っていいか」を、別の視点で判断します。
担当者や部署は会社によって異なりますが、
判断を分けることが大切です。

なぜ判断を分けるのか|内部統制の考え方
判断を分けて事務処理を行うことは、
内部統制(ないぶとうせい) につながります。
内部統制とは、
会社の業務が正しく、安全に回るようにするための仕組み のことです。
難しい制度や特別なルールを指す言葉ではなく、
- ミスを防ぐ
- 不正を防ぐ
- 後から問題になる処理を減らす
ための、実務上の工夫です。
内部統制の基本のひとつが、
購入の判断と支払の判断を、
同じタイミングで行わないこと
です。
判断を同一にすると起こりやすい問題
購入の判断と支払の判断を
同じ人・同じタイミングで行ってしまうと、
次のような問題が起こりやすくなります。
ミスに気づけなくなる
一度「購入すると決めた」判断があると、
その流れのまま処理が進み、
- 数量違い
- 金額違い
- 二重請求
といったミスに、
立ち止まって気づく場面がなくなります。
不正を防ぎにくくなる
判断が同一だと、
- 実際には納品されていないもの
- 不要な発注
- 内容を十分に確認していない請求
でも、処理が進んでしまう余地が生まれます。
別の視点での確認が入ることで、
初めて不自然さに気づくことができます。
「確認したつもり」になりやすい
書類はそろっているが、
内容までは見ていない。
このような
形だけの確認 になりやすいのも、
判断を同一にした場合の典型例です。
責任の所在があいまいになる
トラブルが起きたときに、
- どこで確認すべきだったのか
- どの判断が原因だったのか
が分からなくなります。
判断を分けておくことで、
どこで止められたかを説明できる状態 を保てます。
① 見積:まずは内容と金額を確認する
最初は見積です。
見積書では、
- 何を買うのか
- いくらかかるのか
を確認します。
金額が適正かどうかを判断するために、
あらかじめ 金額ごとの対応ルール を決めておくと安心です。
例えば、
- 30万円以上の購入は、2社以上から相見積もりを取る
といったルールです。
② 承認:この内容で購入を進めていいかを判断する
見積内容が固まったら、承認を取ります。
承認では、
- 金額は妥当か
- 内容に問題はないか
を確認し、
この内容で購入を進めてよいか を判断します。
この承認は、
「購入の承認」 です。
③-1 注文:承認後に注文書を作成する(現場)
承認されたら、注文書を作成します。
次の3点をセットにして、経理へ回します。
- 注文書
- 注文書控
- 承認書(稟議書)
ここまでが、
現場側で行う事務処理 です。
③-2 注文:経理で注文書のチェックをする
経理では、
注文書が きちんと承認を受けたものか を確認します。
問題がなければ、
① 支払管理表に内容を記入
支払管理表とは、
注文・納品・請求・支払の状況を、
支払判断のために一連の流れで管理するものです。
② 注文書を取引先へ発送
③ 注文書控と承認書をセットにして保管
という流れになります。
④ 納品・請求書:内容に間違いがないか確認する
商品やサービスが納品されると、
まず 納品書 が届きます。
次に、
請求書が届いた段階 で、経理で内容を確認します。
確認するのは、
- 注文書どおりの内容・金額になっているか
- 実際に納品・提供が完了しているか
の2点です。
そのうえで、
関係部署に内容を確認し、
- 商品に不良がなかったか
- サービスが契約どおり提供されていたか
を確認します。
⑤ 承認:納品・サービス完了を確認する
④で内容の確認が終わったら、
次に行うのが 承認 です。
この承認は、
- 商品やサービスが確かに納品・提供されていること
- 請求内容に問題がないこと
を確認したうえで、
「この取引は支払ってよい状態である」
と判断するためのものです。
ここで行う承認は、
振込を実行するための最終承認ではありません。
この承認が完了してから、
経理は支払の準備に進みます。
実務上の補足:支払までの流れについて
実際の事務処理では、
この後、経理で振込データの作成や仕訳入力を行い、
最終的な支払承認 を受けたうえで、
振込が実行されます。
このような
詳細な実務ステップや書類の流れ については、
あわせて掲載している図
「詳細な実務ステップと書類の流れ」を参照してください。

まとめ:判断を分け、順番で回すことが内部統制になる
事務処理では、
- 判断するポイントを分ける
- 決めた順番で回す
ことが重要です。
購入の判断と支払の判断を、
同じタイミングで行わないことが、
内部統制の基本になります。
担当者や部署が違っていても、
同じ人が複数の工程を担当していても、
判断を分けて考えること が、
事務処理を安定させる土台になります。

