まず最初にやること
ひとり経理、ひとりバックオフィスとして
私がまず取り組むのは「仕組みづくり」です。
処理を早くすることでも、
一生懸命頑張ることでもありません。
きちんと、間違いなく流れる仕組みを先に整えること。
これが一番大切だと考えています。
仕組みづくりは「下準備」
飲食店で考えると分かりやすいかもしれません。
注文を受けてから食材を切る店はありません。
あらかじめ切っておき、
調理するときは入れるだけ。
スピードメニューなら、出すだけ。
この「準備」があるから、
忙しくなっても回ります。
経理も同じです。
目の前の処理を一生懸命こなすより、
自然に回る状態を先につくることが重要です。
経理は単純作業に逃げがち
経理になった直後、
多くの人がやってしまうのは、
目の前の単純作業を必死に片付けることです。
理由ははっきりしています。
- 経理は「これまでのやり方を尊重する」文化が強い
- やり方を変えるには、周囲の協力が必要になる
- その調整自体が大きなストレスになる
- そもそも、どう変えればいいか分からない
- 変えた結果、誤った処理にならないか不安
こうしたストレスから、
結局「今までのやり方」を続けてしまいます。
その結果、
経理だけがいつまでも昭和のまま、
という状況が起きます。
IPO準備会社で感じたこと
以前、IPO準備中の会社に関わったことがあります。
その会社では、
勘定科目に補助科目がほとんど設定されていませんでした。
BSの科目内訳を作るたびに、
仕訳をさかのぼって内容を確認する必要があり、
多くの時間がかかっていました。
私は
「補助科目を最初に整えておかないと、
日々の管理が回らなくなります」
と進言しました。
しかし返ってきたのは、
「それは完成された会社がやることだ」
という言葉でした。
補助科目が、
日々の管理に直結するものだという認識がなかった
のだと思います。
その結果、
準備が後回しにされ、
現場では無理な対応を続けることになっていました。
補助科目は、日々の管理のためのもの
補助科目というと、
- 決算のときに必要なもの
- BS内訳資料を作るためのもの
と思われがちです。
しかし、実際は違います。
補助科目は、
日々の管理のためのものです。
- 不明残高が残っていないか
- 売掛金は回収されているか
- 仮払金や立替金が放置されていないか
こうしたことを、
日常的に確認するために使います。
だから「最初」に準備する
ここまで書いてきたとおり、
経理の仕事では「仕組みづくり」を先に行うことが重要です。
その考え方を伝えるために、
私は「経理を効率化しよう」というテーマで、
補助科目や業務設計についての動画も作成しています。
文章だけでは伝えきれない部分は、
実際の画面を使って説明していますので、
興味のある方はそちらも参考にしてみてください。
→ [経理を効率化しよう(動画一覧)]
補助科目の準備は、
正直に言えば とても手間がかかります。
最初は苦労しますし、
時間も取られます。
ただし、
一度きちんと作ってしまえば、
その後は日々保守していくだけです。
- 新しい取引が出たら補助科目を追加する
- 不要になったものを整理する
- 残高を定期的に確認する
作り直すのではなく、
手入れをしながら使い続けるイメージです。
ひとり経理が最初にやるべきこと
ひとり経理・ひとりバックオフィスとして
最初にやるべきことは、
- 処理を速くすることではない
- 頑張ることでもない
業務が自然に流れる仕組みを整えること。
最初の準備は大変でも、
それをしておけば、
あとは保守で回せるようになります。
目の前の作業に追われる前に、
まず「準備」に時間を使う。
それが、
後から自分を一番助けることになります。











